2019/01/12

「自分には才能がある」と思い込み続けたデザイナーの末路

セールスライターとしてツールを作成する時、デザインが苦痛になっていませんか?

「とりあえず作ったけど、見た目がどうも……」
「どうすれば良くなるのかは分からんが、とにかく“コレじゃない”ってのは分かる」
「なんだよ、けっきょくライティングよりデザインに時間がかかってるじゃないか……」

そんな時、あなたの気持ちに近いものは以下のどっちですか?

  • 自分には、センスがない
  • 自分には、才能がない

どっちも一緒?
いいえ、違います。少なくともデザインの世界においては。

というわけで、今日は
デザインの才能とセンス
について、私個人の考えをお伝えしたいと思います。

こと【デザイン】における、才能とセンスの違い

才能とセンス、どっちも似たような言葉ですが、この違いはどこにあるのでしょう?
結論を言うと
才能とは、先天的に持って生まれた特長
センスとは、築き上げてきた知識や技術の結実

というのが私の考えです。
デザインにおいての才能とは、具体的に言うと

感受性の方向
空間を的確に把握する能力
色彩を細かく認識する能力
感覚的なデザイン表現をする能力
論理的なデザイン理論の構築能力

などでしょうか。

対してセンスとは、具体的に言うと

今までやってきたデザイン分野の経験値
費やしてきた時間の多さ
楽しんで努力した時間の多さ
試行錯誤の量

かと思っています。

私の話をさせてください

忙しい時間を割いてここまで読んでくださった読者様の中には
早く結論を知りたい方もおられましょうが、
結論に至るまでに必要な気づきがあるので
少しだけ私の昔話に付き合っていただきたいです。

私は高校卒業後、すぐにデザイン制作部署で働きはじめました。
当時の私はスーパー調子に乗った子供
「自分には(根拠ないけど)才能があるから、すぐにデザイン部署のエースになる」と
息巻いてはばかりませんでした。

でも当然、現場で私は使い物になりませんでした。

作ってはやり直しをされ、先輩にため息をつかれながら
自分の分身とも言える制作物がゴリゴリと修正を入れられます。
出来上がったものを見て「もう別物じゃん……」と悲しくなり
枕を濡らす毎日が待っていました。

営業には「センスがない」と言われ
先輩には「なんでこうしたか自分で説明できる?」と質され
同期たちには「ちゃんとせぇやwwww」と笑われました。

あれぇ、おかしいな……。
いやそんなハズはない。
自分は才能に恵まれているのに。
なんなら自分は天才なハズなのに……!!

結果的にこの思い込みが
私にとって良い方向へ働いたのでした。

才能とは、弱みも含めた自分の【特徴】でしかない

私は空間把握能力に乏しかったようです。
なんでもかんでも紙面はギュウギュウに詰め込む癖がありました。
でもそのおかげで、
「入れなければいけない多すぎる情報をパズルのように詰め込む」
というレイアウトの上で非常に大切な能力を伸ばすことができました。

逆は私は細やかな色彩感覚を持っていました。
非常に微妙なトーンの使い分けで、ゴチャゴチャした紙面を色によって見やすくすることができました。
こういった特徴は主に量販店のチラシにおいて力を発揮します。

高校時代の部活動で空手をやっていたおかげもあって
努力すれば上達する、という当たり前の事を体感していたので

「天才の自分だから必ず上手くなる」

と研究と試行錯誤に時間を惜しむことなく費やすことできました。

だんだんと広がる仕事の幅

得意分野で成長を認めてもらえると
だんだん様々な仕事を任せてもらえるようになりました。
その度に経験値を稼いでいって、
とうとうチームリーダーを任されたり
新人の教育までさせてもらえるようになりました。

もちろんその頃には「センスがない」と言われることは無くなっています。

なるほど、センスとは才能のことではなくて
積み上げてきた経験と慣れのことなのだと、
この時初めて知ったのです。

デザインを諦める必要はない

今は、空間把握能力の乏しさにコンプレックスはありません。
バランスのとり方も
余白の空け方も
経験してきたセンスでカバーできています。

苦手な感覚的なデザイン表現をする能力も
十年培ってきた引き出しがカバーしてくれます。

私に恵まれていたのは
「才能はある」
と思い込み続けることができたことでした。

セールスライターの皆さんも
デザインに苦しんだ時

「才能がない」
と思い悩まない方が、今後の成長を妨げないかと思います。

例えば「女性的なデザインの感受性」に恵まれていなくても
「ロックンロールで男性的なテイスト」のデザインは得意かもしれません。
「色彩感覚」が荒い人は、鮮やかな色使いの子供向けなデザインが上手かもしれません。
感覚的な表現が苦手な人は、精緻なデザイン理論を組み上げる才能があるかもしれませんし
論理的に考えられない人は感覚で成立させてしまう天才肌の人かもしれません。

「センスが無い」
と思ってしまう人は、むしろ伸びしろが大きくあると言っていいでしょう。
今後経験を重ねるごとにセンスは積み上げられていくのですから。

とはいえ、デザインをやる気が無いのに
「デザインを諦めるな!」
と熱く語るつもりはありません。

得意な人が他に居るなら、
その人にもう任せてしまいましょう!

でもデザインスキルがあると、
こんな良いことがありますよ?笑