セールスライティングと週刊文春

From:桜井啓太
恵比寿のオフィスより

最近、セールスコピーを書いていて煮詰まることが多いんです。

特にヘッドライン、サブヘッド、ブレット…。こういったものは、セールスコピーの成否を左右しますので、妥協はしたくありません。いろいろ考え、いろいろ書いてみて、いろいろと書き直す。どこまで書いてみても、しっくりくるものが来ない…。

それでも納期があります。一定時間後には書き終えねばなりません。その焦りが思考を乱し、なおさら考えられなくなる…。

こうやって袋小路にはまりこんでしまうと、なかなか出ることができません。

仕方ないのでそのまま出してしまうか、それとも時間ギリギまで粘るか。いっそ帰って寝てしまおうか。朝起きたら何か思いつくかもしれない…。

いやいや、確かにそうなんですけど、もっと他にやるべきことがあると最近気づきました。

それは、リサーチです。

書けないのはリサーチが足りないから

ここは、セールスライティングの基本に立ち返ってみるべきなのです。セールスコピーを書けないのは、ライティングが問題ではないのです。それ以前にリサーチが足りていないと、何度書き直しをしても良いものは書けません。

セールスライティングは、100調べてそのうちの10を使う、といったくらいのイメージなんです。いかに書くかとかいかに使うかではなくて、「以下に削るか」。

だから煮詰まったときはリサーチに戻ると良いでしょう。

セールスライターは真面目すぎる

いま、楠瀬健之パートナー養成会の、リストブランディングチームを担当しています。体験という制度があるので、セールスライターを目指している人たちがたくさんライティングに挑戦しています。

その中で思うのは、「みんな真面目だなあ」ということ。価値のあること、ためになること、読んでもらって「すごいなあ」と思われそうなこと。そういうことを書かないとダメだって思っている人が多いです。

そもそも、セールスコピーを見るような見込み客と自分を比べてみてください。こっちはそこまで専門家というわけでもないですよね。もちろん多少のリサーチはしたけど、ウェブとか本とかで手に入るくらいの知識に過ぎないわけです。

だとしてらコピーの読み手に「価値を与えよう」とばかりしたって、そんなにネタってないですよね。

こういう考え方をしてしまうと、セールスライティングが煮詰まりやすいようです。何を隠そう、私がそう考えてしまっていたから、袋小路に入ってしまっていたんですよね。

セールスライターになろうという人には、たしかに「ラクして儲けたい」という思考の人もいます。ですがそんなのないじゃないですか。だから、なろうと決めて数ヶ月、数年後も頑張れている人は、ちゃんと現実が分かっている。ちゃんと向上心とか勤勉さとかがある人たちなんです。

でもそれが仇になっている可能性があります。だからこそ、真面目すぎるんです。

雑誌リサーチをしていてわかった「ライティングの本質」

セールスライティングは「読み手の頭のなかにある言葉を表現してあげること」だと言われます。私も最近、そう強く意識してライティングをしています。

だとしたら読み手は何を考えているのか?

それは、考えても分かりません。リサーチとしては「ターゲットが日頃見ているものと同じものを自分も見る」というのが有効です。そうやってターゲットの頭の中を、自分の頭にコピーします。

というわけで最近積極的に雑誌を読んでいます。できるだけ売れている雑誌がいいですね。例えば週刊文春は1号あたり65万部売れています。雑誌売上1位です。それだけの人が読んでいるということですね。

それに、数ある週刊誌の中から「文春を読みたい」というそれだけ多いということ。中吊り広告とか見出しが、それだけ人の興味を引きつける魅力を持っているということです。要は、命であるヘッドラインが優秀であるということ。

同じことに挑戦している私たちセールスライターも、こういった雑誌から学ぶことは多いのです。

それでいろいろな雑誌を読んでいて思うこと…

一部の専門誌を除いて、大衆誌って「中身すっからかん」なんです。なんだか悪いように言っていますが、良し悪しではありません。読み手がそういうものを求めているから、雑誌側もそういうものを提供しているというだけの話です。

思えば、一般的な雑誌って「勉強したい・学びたい」と思って手に取るものじゃないんですよね。「暇をつぶせそう」とか「おもしろそう」ということでみんな買っていくはずです。だからあまりに重厚なテーマで書きすぎても、重すぎて誰も読もうと思わないのでしょう。

あなたがどんなセールスコピーを書くことになるかは分かりません。でも、あなたの書いたランディングページなりチラシなりを見るときの読み手って、そんなに勉強モードじゃないはずです。

  • ちょっと情報収集してみようかな〜
  • お、これおもしろそうだから読んどくか〜
  • 暇だな〜。なんか時間潰せそうなやつは…?

こういった気持ちで読むことが多いということです。

例えば電車の中。となりでスマホを触っている人がいたら、横目で注目してみてください。すごい勢いでページをスクロールしています。ぜんぜんまともに読んでないんです。

私たちは雑誌記者です

ヘッドラインの役割は、本文を読んでもらうこと。本文冒頭オープニングの役割は、その下を読んでもらうこと。価値を与えるのが目的でもなければ、売る必要があるわけでもありません。

超高速スクロールしている人が、思わず止まってしまうもの。全速力で走っている人の目をどうしても釘付けにしてしまうもの。ヘッドラインやサブヘッドの役割はそういうことなんです。

セールスライターと雑誌記者って、たぶん同じことをやっているんですね。

PS
パートナー養成会リストブランディングチームでは、「雑誌リサーチ」をはじめました。各メンバーが担当している雑誌の見出しを定点観測し、お互いに報告し合う仕組みです。これを続けていけば、次第にセールスライターの頭の中が世間一般に近づいていくだろう、と確信しています。

PS2
煮詰まったら自分の頭の中だけで考えず、頭の外から持ってくる、すなわちリサーチが大切だということです。もちろん、他に人にレビューをしてもらうということも同じ効果があります。

「そんなこと言われても、レビューしてくれる人なんて周りにいないよ」と思っているのなら―
あなたの書いたセールスコピーをレビューしてもらえる環境を手に入れることもできますので、チェックしてみてもいいかもしれませんね。

コメント

  1. 杉下 より:

    中吊り広告の興味を引きつけるパワーといったらすごいですよね。電車に乗って無意識に読んでいる自分に気づいた時に「うわ、やられた」って思います。ヘッドラインの重要性を感じる瞬間です。笑

    僕は流行っている漫画やゲームというものを昔からずっと避けてきました。ハマってしまうと欲求に勝てずのめり込んでしまうからです。笑
    仕事の一環としてターゲットの頭の中を知るためにも、程よく見ていこうと思います。

    この記事を読んで「真面目すぎる」という言葉がなんだかとても刺さりました。

    1. 桜井啓太 より:

      杉下さん

      コメントありがとうございます。では杉下さんは「マジメ」な部類に入るのかもしれませんね(笑)

      私も以前、「マジメ過ぎる」と指摘されてショックを受けた経験があります。それからは、自分の中にある割とゲスな気持ちを大切にして生きています。そうすることで、世の中のメッセージが違って見えるようになりましたね。

      中吊り広告なんかも、昔は「内容すっからかんだなー」とか思っていましたけど、「自分がどうか」なんてことはマーケティングでは無意味ですからね。

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