2023/03/20

盗まれたキン消しの行方

From:宮川徳生

遡ること30数年前のこと。

まだ子供だった僕の宝物の1つ
”キン消し”が行方不明になるという事件が起きた。

僕と同世代なら
きっとみんなもっていたであろう
キン消し。

キン消しとは
キン肉マンのキャラクターの形をした
消しゴムのこと。

ちなみに
消しゴムとしてはまったく機能せず
字を消すことはほぼできない。

なんと、当時の販売個数は
1億8千万個も売れたそう。

当時は100円で買うことができたので
キン消しだけで180億も売れた計算になる。

キン肉マン自体が
大ヒットしたということもあるが
世のちびっこたちがキン消しをこぞって集めていたのだ。

当然、僕もその一人。

親にお小遣いをねだり
100円のカプセルを回すのが
楽しみで仕方なかった。

で、そんなキン消しには
「レア」なキン消しがあり
色がついてるものがたまにある。

普通は肌色なのだが
赤とか緑とかそういう色付きのものが
たまにあるのだ。

色付きのキン消しは
ちびっこたちにとってまさにお宝。

100円のカプセルを回しても回しても
色付きキン消しはほとんどでてこない。

しかし、僕は1体だけ
色付きのキン消しを当てることができたのだ。

緑色のウォーズマンである。

しかし、この
緑色のウォーズマンが
のちに事件を引き起こすことになるのだが…

といのも
緑色のウォーズマンをもってりいる人は
僕の周りにはいなかったので
当然僕はみんなに自慢をした。

「緑色のウォーズマンがあたったぞ!
 今日、学校終わったら見に来いよ!」

友達を家に呼んだのである。

そして、事件は起きた。

友達が帰ったあと
緑色のウォーズマンが見事に行方不明になったのだ。

家中探してもどこにもない。

きっと盗まれたのだと
子供ながらに理解した瞬間だった。

あのウォーズマンは
あのあとどこにいってしまったのか…

誰の手に渡り
どんな最後を迎えたのか…

「人のものを盗んじゃいけない」

小さいころから
親や先生にこう言われて
我々は育つ。

他人の所有物を盗むのは悪いことであり
そんな事をすれば捕まって牢屋行きである。

そうやって
この世の中は成り立っている。

盗みは悪いことだ。

悪いことだが
我々が軸足をおいているマーケティングでは
話は違ってくる。

誤解されるかもしれないが
マーケティングにおいては
盗むことこそ成功の秘訣なのだ。

成功している人
成功している企業
大ヒットした商品

それらのほとんどは
みんな何かを盗むことで
大成功を収めた。

マーケティングの世界において
本当にオリジナルと呼べるものなど
ほぼ存在しないのだ。

例えば、オフィスグリコ。

オフィスにグリコのお菓子をおいてもらい
従業員が好きな時にお金を払い
食べたいお菓子を購入するサービス。

このサービスは
全国で11万事業所に設置され
売上は60億近くある。

一見、このサービスは
革新的なアイデアのように見えるかもしれない。

が、もとは
野菜の路上売りを参考に生まれたサービスなのは
有名な話である。

価格破壊でビジネスホテル業界で大躍進した
スーパーホテル。

ここも、ワンルームマンションの不動産経営のノウハウを
ビジネスホテルという業態に持ち込んで大成功した。

他にも、広告の神様と呼ばれた
オグルヴィのロールスロイスの広告。

全米中からロールスロイスが消えた
と言われるくらい大ヒットした広告は
その20数年前に作られた広告を盗むことで
作られたのも有名な話だ。

ダンケンディの3ステップレターだってそうだ。

同じ顧客にちょっとずつ内容を変えたDMを
3回送ることで成果が最大化する。

ダンケンディの世紀の大発見のように思われているが
元々は借金の督促が3回来ることから作られたノウハウである。

つまり、マーケティングの世界は
商品企画・広告・コピー・キャンペーンなどなど…
盗みに溢れているのだ。

我々のようなマーケティングをする者の仕事は
オリジナルをやることではない。

そうではなく
我々のやるべきことは
いかに素早くいかに多くの商品を売るか?

ただそれだけである。

そして、マーケティングの世界では
そのために他社のマーケティングアイデアを
盗むことが許可されているのだ

盗みが許可されているわけだから
盗んだほうが遥かに早いしうまくいく。

冒頭でお伝えした
レアなキン消しを手に入れるために
誰かのキン消しを盗むことは犯罪だ。

だが、マーケティングは
むしろ盗むことが推奨されている。

マーケターの仕事は
いかに合法的に優れたアイデア
優れた広告、優れたコピーを盗み
素早く売上を上げるか?

ただ、それだけである。

PS.
ちなみに、今キン消しは
プレミア価格がついているものがあり
マンモスマンはなんと35万ほどで売れるらしい。

僕が引き当て
行方不明になった緑色のウォーズマンも
さぞ高値で取引されてるだろうと思い調べてみたら…

落札価格はたったの
「350円」だった…orz